フォークリフト作業が活かせる仕事は？向いている人や実態、メリットをご紹介

フォークリフト作業とは？

フォークリフトは、倉庫や工場で荷物の運搬に欠かせない産業車両です。しかし、実際の仕事内容や活躍できる場所については、意外と知られていないことも多いのではないでしょうか。

ここでは、フォークリフト作業の基本的な内容と、どんな場所で活躍できるのかを詳しく見ていきます。

パレットを運ぶだけじゃない！フォークリフトの仕事内容

フォークリフトの主な仕事は、車体前方のフォーク（ツメ）を使って荷物を持ち上げ、指定された場所まで運ぶことです。トラックから荷物を降ろして倉庫内に収納したり、出荷する商品をトラックに積み込んだりする作業が中心となります。

しかし、実際の業務はそれだけではありません。荷物の仕分けや在庫の整理、時には簡単な検品作業を任されることもあります。パレットに載っていない荷物は、まずパレットに積み替える作業から始めなければなりません。

また、高い棚への収納作業では、リーチ型と呼ばれる特殊なフォークリフトを使用します。狭い通路でも操作できるよう設計されており、繊細な運転技術が求められる場面も多くあります。

単純に荷物を運ぶだけでなく、効率的な動線を考えたり、安全に配慮しながら作業を進めたりと、頭を使う場面も意外と多い仕事なのです。

倉庫だけじゃない！意外と知らない活躍の場

フォークリフトといえば倉庫での作業をイメージする方が多いでしょう。確かに物流センターや倉庫は最も一般的な職場ですが、実はそれ以外にも様々な場所で活躍の機会があります。

製造業の工場では、生産ラインへの部品供給や完成品の運搬でフォークリフトが活用されています。自動車工場や家電工場など、大規模な製造現場では欠かせない存在です。

建設現場でも、重い建材や資材の運搬にフォークリフトが使われます。鉄骨やコンクリートブロックなど、人力では運べない重量物を効率的に移動させる重要な役割を担っています。

さらに、青果市場や水産市場といった市場でも活躍しています。早朝から大量の商品を仕分け、各店舗へ配送する準備をする際に、フォークリフトは大活躍します。

このように、物を運ぶ必要がある場所なら、どこでもフォークリフトの需要があるのです。

未経験からでも大丈夫？資格取得の道のり

フォークリフトを運転するには、専門の資格が必要です。しかし、この資格は比較的取得しやすく、未経験者でも挑戦できるのが大きな魅力です。

ここでは、資格取得の方法や費用、年齢制限などについて詳しく解説します。

最短4日で取れる！フォークリフト免許の取り方

フォークリフトの資格は、正確には「フォークリフト運転技能講習修了証」といいます。最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転する場合に必要な資格です。

講習は都道府県知事に登録された教習機関で受講できます。カリキュラムは学科講習と実技講習に分かれており、両方に合格すると修了証が交付されます。

普通自動車免許を持っている方は、一部の学科が免除されるため、31時間（約4日間）で取得可能です。運転免許を持っていない方でも、35時間（約5日間）で取得できます。

講習内容は、フォークリフトの構造や安全に関する知識、実際の運転操作、荷役作業の実習などです。最終日には学科試験と実技試験がありますが、しっかり講習を受けていれば合格できる内容です。

土日に講習を実施している教習機関もあるため、働きながら資格取得を目指すことも可能です。一度取得すれば更新の必要がないのも、この資格の大きなメリットといえるでしょう。

費用は3～5万円程度、会社が負担してくれることも

フォークリフト運転技能講習の受講費用は、教習機関によって異なりますが、おおむね3万円から5万円程度が相場です。この金額にはテキスト代や修了証の発行手数料も含まれています。

費用の内訳を見ると、学科講習料、実技講習料、教材費、試験料などが含まれます。教習機関によっては、分割払いに対応しているところもあります。

注目すべきは、多くの企業が資格取得支援制度を設けていることです。入社後に会社の費用負担で資格を取得できる企業も少なくありません。

特に人手不足が深刻な物流業界では、未経験者を採用して育成する企業が増えています。「資格取得支援あり」「講習費用全額負担」といった求人も多く見られます。

中には、講習期間中も給与が支払われる企業もあります。資格取得を勤務扱いにしてくれるため、収入を得ながら資格を取ることができるのです。

このような制度を活用すれば、初期費用をかけずにフォークリフトの資格を取得できます。転職を考えている方は、求人情報の福利厚生欄をよくチェックしてみましょう。

18歳以上なら誰でもチャレンジできる

フォークリフトの資格取得に必要な条件は、満18歳以上であることだけです。学歴や職歴、性別による制限は一切ありません。

18歳未満の方は法律でフォークリフトの運転が禁止されているため、高校在学中は資格を取得できません。しかし、18歳の誕生日を迎えれば、すぐに講習を受けることができます。

年齢の上限もないため、40代、50代から資格取得にチャレンジする方も多くいます。定年後の再就職を見据えて資格を取る方も増えています。

講習では、運転経験がない方でも理解できるよう、基礎から丁寧に指導してもらえます。実技講習では、インストラクターがマンツーマンで指導してくれることも多く、自分のペースで技術を身につけられます。

体力的な条件もそれほど厳しくありません。フォークリフトは座って操作するため、重い物を持ち上げる必要はありません。ハンドルとレバー操作ができれば、誰でも運転できるのです。

このように、フォークリフトの資格は年齢や経験を問わず、誰でも挑戦できる開かれた資格といえるでしょう。

こんな人が向いている！フォークリフト作業員の適性

どんな仕事にも向き不向きがあります。フォークリフト作業員として活躍できる人の特徴を、3つの観点から解説します。

安全第一！慎重で責任感のある人が活躍

フォークリフト作業で最も重要なのは、安全に対する意識です。重量物を扱う仕事だけに、事故が起きれば重大な結果を招く可能性があります。

慎重で几帳面な性格の人は、この仕事に向いています。決められたルールを守り、安全確認を怠らない姿勢が評価されます。

例えば、バック走行時の後方確認、荷物を持ち上げる前の重量確認、通路での徐行運転など、基本的な安全ルールを確実に実行できることが大切です。

また、ヒヤリハット（危険を感じた体験）を素直に報告し、改善につなげられる人も重宝されます。小さなミスも見逃さず、常に安全性の向上を心がける姿勢が求められるのです。

責任感の強さも重要な要素です。自分の操作ミスが他の作業員の怪我や商品の破損につながることを理解し、プロ意識を持って仕事に取り組める人が活躍しています。

周囲への気配りができることも大切です。フォークリフトの死角は意外と多く、常に周りの作業員の動きを把握しながら運転する必要があります。

コツコツ作業が苦にならない人にピッタリ

フォークリフト作業は、基本的に同じ作業の繰り返しが多い仕事です。トラックからの荷降ろし、倉庫内での移動、出荷作業など、決まったパターンの作業を一日中続けることになります。

このような単調な作業を苦にせず、黙々と取り組める人はこの仕事に向いています。むしろ、決まった手順で確実に作業を進めることに満足感を得られる人が理想的です。

集中力を長時間維持できることも重要です。単調な作業だからこそ、気を抜くとミスにつながります。一定のリズムで作業を続けながら、常に注意力を保てる人が求められます。

また、自分なりの工夫を見つけられる人も活躍しています。例えば、効率的な動線を考えたり、荷物の積み方を工夫したりと、単調な中にも改善の余地を見つけられる人は、仕事を楽しく続けられるでしょう。

一人で黙々と作業することが多いため、チームでワイワイ働くよりも、自分のペースで仕事を進めたい人に向いています。

機械操作が好きな人ほど楽しめる仕事

フォークリフトは、独特の操作感覚を持つ特殊な車両です。普通の車とは違い、後輪で舵を取るため、最初は戸惑う人も多いでしょう。

しかし、機械の操作が好きな人にとっては、この独特な動きをマスターすることが楽しみの一つになります。狭い場所での切り返しや、高い場所への荷物の積み上げなど、技術を磨く楽しさがあります。

フォークリフトにはカウンター式、リーチ式、サイド式など様々な種類があり、それぞれ操作方法が異なります。新しい機種に挑戦することで、スキルの幅を広げられるのも魅力です。

また、運転が上達すると作業効率が目に見えて向上します。自分の技術向上が仕事の成果に直結するため、やりがいを感じやすい仕事といえるでしょう。

車の運転が好きな人、ゲームでの乗り物操作が得意な人などは、フォークリフトの操作にも順応しやすい傾向があります。

空間認識能力が高い人も有利です。荷物と棚の隙間を正確に把握したり、高さを見極めたりする能力は、安全で効率的な作業に欠かせません。

将来性はどう？キャリアアップの可能性

フォークリフトの仕事を長く続けていく上で、将来性やキャリアアップの可能性は重要なポイントです。ここでは、具体的なキャリアパスと将来の展望について解説します。

現場リーダーから管理職へのステップアップ

フォークリフト作業員としてスタートした後、経験を積むことで様々なキャリアパスが開けます。

まず目指せるのは、現場のリーダーポジションです。班長やチームリーダーとして、他の作業員をまとめる役割を任されるようになります。新人の教育や作業計画の立案など、マネジメント業務も経験できます。

さらに経験を積めば、倉庫全体の管理を任される主任や係長への昇進も可能です。在庫管理システムの運用や、安全管理の統括など、より責任のある仕事を担当することになります。

最終的には、物流センター長や倉庫管理責任者といった管理職を目指すこともできます。現場を知り尽くした管理者は、企業にとって貴重な存在です。

実際、多くの物流企業では、現場からの叩き上げ管理職が活躍しています。フォークリフトの経験があることが、管理職への最低条件となっている企業も少なくありません。

正社員登用制度を設けている企業も多く、派遣社員やアルバイトから正社員になり、その後管理職へステップアップする道も開かれています。

他の資格と組み合わせて収入アップも狙える

フォークリフトの資格だけでなく、関連する資格を取得することで、さらなるキャリアアップが可能です。

例えば、クレーンや玉掛けの資格を取得すれば、より幅広い荷役作業に対応できます。両方の資格を持つ作業員は重宝され、給与面でも優遇されることが多いです。

大型自動車免許を取得すれば、トラックドライバーとの兼務も可能になります。荷物の運搬から積み下ろしまで一人でこなせる「マルチプレーヤー」として、高い評価を得られるでしょう。

危険物取扱者の資格があれば、化学品倉庫での勤務も可能になります。専門性の高い職場では、その分給与も高く設定されています。

また、フォークリフト講習の指導員資格を取得する道もあります。教習機関で新人に技術を教える仕事は、体力的な負担も少なく、長く続けられる仕事です。

物流管理に関する資格（ロジスティクス管理など）を取得すれば、現場作業から物流企画や改善提案といった、よりクリエイティブな仕事への転身も可能です。

自動化の波は来る？それでも需要が続く理由

物流業界では、自動化・無人化の動きが進んでいることは事実です。大手企業の最新倉庫では、無人搬送車（AGV）や自動倉庫システムの導入が始まっています。

しかし、完全自動化にはまだ多くの課題があります。初期投資が莫大で、中小企業には導入が難しいのが現状です。また、イレギュラーな対応や繊細な作業は、まだ人間にしかできません。

業界関係者の間では、少なくとも今後10年程度は人手によるフォークリフト作業の需要が続くという見方が主流です。むしろ、現在の深刻な人手不足の方が大きな問題となっています。

また、自動化が進んでも、システムを管理・監督する人材は必要です。現場経験のある人材が、自動化システムの運用や改善に携わることになるでしょう。

新しい技術に対応していく姿勢も重要です。タブレット端末での在庫管理や、AGVとの協調作業など、ITスキルを身につけることで、時代の変化に対応できます。

さらに、完全自動化が難しい分野も多く存在します。建設現場や不定形な荷物を扱う職場、小規模な倉庫などでは、今後も人によるフォークリフト作業が主流であり続けるでしょう。

このように、技術の進歩を恐れるのではなく、それを味方につけることで、フォークリフト作業員としての価値を高めていくことができるのです。